技術レベルの設定ではまる

 私プログラマ崩れのネットワーク管理者見習いなんですが、技術をかじるものの端くれとして、趣味で小説を書いていても作中の技術レベル問題で身動きができなくなったりします。
 たとえば、超絶簡単なプロットに設定という肉をつけて一本話を書くとしましょう。

例:A国とB国は戦争中。戦争中のワンエピソードとして戦闘シーンを書きたい
1、背景

  • A国とB国の戦闘は戦線が安定して小康状態
  • 南北に伸びる前線の北端を迂回突破し、A国側の通信拠点をB国が強襲、占領
  • 通信拠点は代替不可能な重要地点であるためA国が奪還を試みる

2、大雑把な戦闘全体の流れ

  • 拙速は巧遅に勝るの観点からA国の寄せ集め部隊が占領下の通信拠点を攻める
  • 罠でした。B国の予備戦力が丘陵に突っ込まれてえらい目に
  • A国も無理やり戦力を流し込んで力押しで勝ちました。被害甚大痛みわけ

3、視点人物をでっち上げて物語にする

  • やっぱりA国の現場の兵隊さんが主人公かなぁ
  • 同じ部隊に語り手、肯定的な仲間、否定的な仲間、他を配置しておく
  • あとはキャラの掘り下げをしつつ上記戦闘の流れを横目に戦闘時の行動と交流をでっち上げて……

 とここまで考えたとします。そこでですね、作品世界の技術レベルによって『可能な話』と『不可能な話』ができてしまうんですよ。
 大雑把に言って戦争に影響を与える技術は通信と移動・輸送です。遠隔地間のコミュニケーションと適切な部隊移動、それを支える補給体制が軍隊という組織の行動を制限します。
 歴史上ある時点で頭ひとつ抜きん出ている武装集団というのはここら辺で他勢力が持っていない革新的能力を持っていたりします。
 また、ある工業製品を登場させるに当たりその背景として必要な諸要素を勘案すると、文明全体の技術レベルがある程度はかれるので、無茶なコラボができなかったりします。
 基本ファンタジーで微妙に現代化させて戦車を出したい、でもそうするとあれもこれも生産可能だ、とか。


 卑近な例として、ライトノベル的伝奇バトルものの『携帯電話をどうするか問題』というのがあります。
 登場人物がトラブルに巻き込まれた際、携帯電話があると回避できるんじゃね? 的なアレです。
 下手糞な処理として、『登場人物はいまどき携帯電話を持っていない変わり者である』という手があります。お嬢様だとか貧乏だとか。舐めんな。
 話の都合上現実を無視するというのはフィクションの世界ではよくあることですが、いくらなんでもふざけんなというのが時々あります。タイプムーンの諸作品はキャラクタものとしては好きですがそのあたりの処理は超嫌い。行政は機能していないのか。


 というわけで現実とフィクションのすりあわせに、主に技術面からはまって話が進まないことがよくあります。どうすればいいんだ。
 ちなみに第二次世界大戦時は、弾道ミサイルと騎兵部隊・馬匹輸送が並存した時代なので超すっき。
 戦車の側面を支える騎兵部隊とかマジ格好いい。